Melting Border -都市の直線と自然の曲線- (2024)
写真をジェルメディウムでキャンバスに転写

都市空間は「直線」に取り囲まれている
ある日、札幌郊外をドライブしている時に、「自然界に直線はほぼ存在しない」ということに気づいた

「直線」とは人間によって作り出されたものの中にのみ存在し、自然界はほぼ曲線によって構成されている
川の流れ、山の稜線、木々の枝の作り出す複雑な形状、これら全てが曲線によって構成されている

この「直線」と「曲線」が都市と自然を分け隔てる一つの要素になっているのではないだろうか

これらを同一画面上で融合し、「直線」と「曲線」を混ぜ合わせ、境界を取り去った時にどのよう形や色が生まれるのだろうか、という疑問が湧き上がり、この作品の制作に繋がった

二つの要素が融合した時、都市空間を構成する直線は自然界の曲線により歪んだように見え始め、複雑な形状に変化し、まるで抽象画のような、単一の物体であったとは思えない画像が生まれた

この作品は以上の経緯から作成され、2024年6月に茶廊法邑で開催された「イメージのトランジション展」に出品された作品の一つの一部分を切り取りさらに抽象性を高め、それらをキャンバスに転写したものである